【山本美樹さん】これからの生きかたや、自分の人生をどうしたいか考えるお手伝いをしたい!
今回は、一般社団法人ULVOを立ち上げ、主に女性向けのフットサルコミュニティを運営されている山本美樹さんにお話を伺ってきました。
なぜ学生のうちから起業に挑戦しようと思ったのか、コミュニティ運営で山本美樹さんが大事にしていることとはなんだったのでしょうか?
山本美樹さんの人生を紐解いていきます。
山本美樹さんが代表理事を務める一般社団法人ULVOの情報は以下のリンクからチェックしてみてください。
・ULVO公式HP
https://ulvo.info/
・Twitter
https://twitter.com/ulvo_futsal
・Facebook
https://www.facebook.com/FutsalGirls.ULVO/info
・Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=R-TZxFK2UUw
・山本美樹さんインスタグラム
https://www.instagram.com/yamamotom1ki/?hl=ja
スポーツをきっかけに色々な人に出逢ってほしい
ー「ヒトの働きかた図鑑」が始まりました。今のお気持ちはいかがですか?
山本美樹さん(以下、山本さん): えっ、なんか懐かしいなという気持ちです。以前、1年間ぐらいラジオパーソナリティーをやっていたので。
ー懐かしいですか?良いですね。では、当時のことも少し思い出していただきながら進めていきましょう。
まずは、自己紹介もかねて現在の活動を教えていただいてもよろしいでしょうか?
山本さん: 一般社団法人ULVOの代表理事をやっております。「女性 フットサル」で検索すると一番上に私たちのサイトが出てきます。
メインの事業としては、今まで全くスポーツをやったことない女の子や、フットサルやサッカーのルールも知らないといった女の子へ気軽に楽しく運動できる機会を提供したり、スポーツをキッカケに色々な人に出逢えるというコミュニティを運営しています。
ー規模もかなり大きいと伺っています。
山本さん: そうなんですよ、今は女の子だけで5,000人ほどの会員さんがいらっしゃって。いつの間にか広がっていきました。最初は、公園でボール1個を持って2〜3人ぐらいで始まったんですけどね。そこから、今はイベントをやったらいつも20〜30人ぐらいは来てくれますね。
ー良いですね。20〜30人いたら、とても盛り上がりますよね。
山本さん: 盛り上がりますし、出逢いがいっぱいあります。フットサルとかスポーツをやってほしいというのももちろんあるんですけど、どちらかと言えばスポーツをキッカケに色々な人と出逢って、自分の視野を広げてほしいというのが根底にありますね。
それこそ、仕事の話やプライベートの話、「出身地が一緒じゃん!」みたいな話でつながりができていったら面白いなと思っています。
私自身もフットサルにこだわっていないんですよ。そうそう、参加者にお料理好きなフードコーディネーターの資格を持っている子がいて、その子のお仕事は会社員でオフィスワークなんですね。講師役として、家で簡単に作れるおしゃれなピンチョス料理を伝授するイベントを試しにやってみたり。
今までもフットサルに限らず、コミュニティから派生して個人がワークショップを開いたりといったこともしています。
女の子がメインなんですけど、男性も参加できるイベントもやっています。うちのコミュニティーで結婚して、子どもが生まれたというお話も4組ほど出てきました。「ULVOベイビーやん!」と盛り上がっていました。
ー恋のキューピッドですね!
山本さん: そうなんですよー。(笑)まあ、恋愛は推奨していないんですけどね。恋愛目的ではなく、単純に身体を動かしたいとか、友達を増やしたいという目的で来ている人たちが、結果として結婚したというお話もいくつかある、ということですね。
「実際、今何やっているの?」と聞かれて、何もやっていないことに気づいた
ーなんかこの話を続けていると、あっという間に30分経ってしまいそうです。(笑)
「ヒトの働きかた図鑑」なのでお仕事のキッカケや経緯を聴いていきたいと思います。
山本さん: 私すごい特殊だと思います。学生の時に、今の会社を立ち上げたので学生起業になりますね。大学1年生で19歳の時です。
大学生ぐらいになると小学校・中学校・高校とかで色々なことをやってくると、なんとなく自分でこういう人間だなというのがわかってくるじゃないですか。私の場合、学級委員とか生徒会とか、要は人の前に立ってリーダーシップを取るということをずっと学生時代にやっていたんですね。
大学に行ってから将来のことを考えたときに、自分でやっていく方が向いてるんだろうなと思っていて。最初からあんまり就職する気がありませんでしたね。高校3年生の時に、将来の夢を書くときにも「社長」みたいな。(笑)
なので、受験したところも経済学部とか経営学部とかでした。最終的には、青山学院の経営学部だったんです。入学して大学生活が始まったらひたすら遊んでいたんですね。サークルとか飲み会とかで友達もたくさんできて、それはそれで楽しかったんです。
ただ、半年ぐらい経った時に「あれ、飲み会やってサークルやってウェイ!みたいなのを4年間続けるために大学入ったんだっけ?あれ〜ちょっと違うな〜」みたいになったんですね。このまま大学生活を続けていたら、起業もできないし、社長にもなれないなと思ったんです。
1年生の後期、夏休みが終わったときぐらいからセミナーや起業家トークセッションみたいなのによく顔を出していました。
当時は、ホリエモンが全盛期で、出版パーティーやイベントによく行ってましたね〜。
ー大学入ってから半年間って気づくのがとても早いですよね?
山本さん: そうそう、フットサルサークルの夏休み合宿で「ウェイ!」ってやって、もちろん楽しかったんですけど「ちょっと待て!」みたいな。けっこう根が真面目なんですよね。
楽しいだけじゃ続かないというか、自分のやっていることに意味があるとか、人のためになるとか、感謝されるとか。そういうのが原動力になるタイプだったので。これをこのまま楽しくやっていても終わっちゃうなーと思ったんですよね。
セミナーとかに参加すると、そもそも独立意識の高い人たちが来ていますし、話も自然と独立や起業の話になりますよね。独立意識が高い人やすでに独立している人とつながってお話を聴いているうちに、自然と「自分は何で起業しようかな」という考えるようになりました。
当時は、本当にやりたいことがいっぱいありました。昔から、なんでも興味を持ってしまうタイプなんですよね。
ーいやいや、何にでも興味を持てるのはとても素敵なことだと思います。例えば、どんなことに興味を持たれたのですか?
山本さん: 最初は国際協力に興味を持ちました。フェアトレードってあるじゃないですか。貧困国と言われる国や児童労働をしている国に対して、公正な取引をして公正な感覚で先進国で販売しましょうという試みですね。
高校三年生の英語の長文読解で、問題文としてフェアトレードの話が出てきたんですよね。「そんなの知らなかったー!」と思いました。日本だと、無印良品さんやスターバックスさんでもフェアトレード商品が販売されているんですけど、それでも知らない人の方が多いですよね?スーパーの棚にフェアトレード商品が並んでいるかというと、並んでいないじゃないですか。フェアトレード商品を広める活動をしたいなと考えましたね。
もう一つは、世代間交流について興味がありました。中学生・高校生が受験勉強をする時に「偏差値がどのくらいの大学に行ったらすごいぞ」という決め方をしていたんですね。そうではなくて、将来やりたいこととかやりたい職業とか、将来何やりたいかから逆算して今の勉強があるんだよということを知ってほしいけど、なかなか大人と触れ合う機会ってないじゃないですか。なので、大人と子どもが交流できる場を作りたいなと思いました。
3つ目は、スポーツが好きだったので、身体を動かすことを通して世代間交流ができる場も良いなと思っていました。
本当に、色々とやりたいことがあったんですよね!
ー当時は、大学一年生ですよね?その時にすでにたくさんのやりたいことをお持ちだったんですね。
山本さん: 色々な人に出逢えば出逢うほど、今まで知らなかったことを色々と知るじゃないですか。そうすると、自分の興味ある分野がだんだんと見えてくるようになりました。
私は、音楽をやったり、絵を描いたり、そういったアート的なことは全くできないですし、やらないんですよね。自分は、身体を動かすとか、ヒトとヒトをつなげたり、海外に行って支援をすることがやりたいんだろうなと思えてきて、「その辺で会社作れたら最高やなー」と思っていましたね。
今思い返すと、全然大学に行ってませんでしたねー。1年の後期からは、大学の外にずっと出て将来自分のやりたいこと探しをしていました。大学の友達からは「山本が最近全然いないぞ」と心配されていたらしいですね。笑
イベントに参加していく中で、一人の経営者と出逢ったんですけど、そのヒトにズバッと言われたんですよね。
ーズバッとですか?
山本さん: はい、「色々とやりたいことあるのは良いねー。で、実際今何やってんの?」って言われたんです。その時は、まだ学生だし、お金もないし経験もないし知識もない。だから、例えば大学4年なり、大学を卒業してからなり、色々と勉強した後に起業すると思っていたんですよね。
ただ、その方に「いや、今そのために何もやってない。」と言われた時に、「あっ、今からやっていいんか。」と気づいたんですよね。いきなり全部はできないけど、今の自分でもできることをとりあえずやってみたら良いんだなと。
「今、何もやっていない。」と答えたときに、「あっ、たしかに私何もやっていない。今できることやってみよう!」と気づいんたんですよ。じゃあ、やってみようというのが起業をするキッカケでしたね。
ーセミナーとかに行っていて、何かをやっている気になっていたということでしょうか?
山本さん: そうそう!ヒトの話を聴いて、すごいヒトに会って、自分はたくさんインプットしているけど、世の中に生み出しているものはないって。自分のテンションは上がっているけど、現実を見ると何もしてないことと一緒だな。何かできることをやってみようと思いました。
そこで、一番最初に始めたのがフットサルのイベントでした。国際協力は、当時の段階ではまだできないと思ったんです。中高生30人と、大学生社会人30人の合計60人を集めて、一緒にフットサルをやる世代間交流イベントですね。本当は、フェアトレードのサッカーボールも使ったんですけど、色々なことを詰め込みすぎると参加者のヒトが「このイベントは何をするイベントなんだろう」と混乱してしまいそうだから、そのことは伏せていたんですけどね。ただただ大人と子どもがスポーツを通して交流して、将来について話すキッカケ作りみたいなカタチになりましたね。
ーそこまでの展開がとても早いですよね。人数も5人とかではなくて、60人ですものね。大学1年生の後半にセミナーに行き始めて、経営者に出逢ったのが?
山本さん: その人に出逢ったのが1月、イベントを開催したのが3月でしたね。子どもたちについては、中高一貫校に通っていてフットサル部だったんですよね。卒業後も部活に顔を出していましたし、顧問の先生とも連絡を取っていました。その場で、こういうことをやりたいと話してみたら、「良いじゃん、お姉さんたちと一緒にスポーツして、将来のことを聞いてみたい」って言ってくれました。大人たちはイベントとかで知り合った人や大学の友達、部活のOGなど、まずは知り合いから始めてました。
ー最初のイベントをやった時の感想は覚えていますか?
山本さん: 覚えていますね〜。自分で何かを作って、みんなが楽しんでくれるのがやっぱり好きなんだなと思いました。最後にアンケートを書いてもらったんですけど、「普段聞けない話を聞けて良かった」や「親や先生以外の大人のリアルな話を初めて聞いた」といった感想がありました。良かった、良かったーと思いましたね。
フットサルが終わった後に、学校の教室を借りて、将来何をやりたいの?をワークショップ形式でやったら、学校のHPに載せてくれたんですよ。それがもう自信につながりましたね。私のやりたいことっていけんちゃう〜って。笑
スポーツを通して大人との距離が近くなってほしい
ー中高生ってなかなか大人と触れ合う機会がないですよね。それこそ身近な人の経歴が近かったら、それ以外の生きかたを知らないまま大人になってしまう。
山本さん: 家族全員サラリーマンで事務職だったら、自分の将来のイメージが会社に入って机に座ってパソコンをカタカタするしかできないと思うんですよね。でも、それって一部のヒトの話であって、もっと色々な生きかたがあると思うんですよね。
たとえ第一志望の大学に合格できなかったとしても、就職活動がうまく行かなかったとしても、その人の人生が最悪かというと全然そんなことない。そんな生きかたの話ができるヒトは、なかなかリアルでは周りにいないからこそ、スポーツを通して話が聴けるようになれば良いのかなと思っています。大人との距離が近くなれば良いなって。
ーそのイベントは定期的に開催していたのですか?
山本さん: えっと、実は、このイベントをやった後に思ったのが、「お金にはならないな」ということでした。すごい良い活動だし、共感もしてもらったんですけど、当時のイベントは学校側がお金とか場所とか全部用意してくれたんですよ。
だからこそ、私はノーリスクで開催できたんですけどね。ただ、今後を考えると、学生団体などの非営利活動としてやっていくのか、ビジネスとしてやっていくのかで迷いました。そもそも私の目的を考えたときに、やっぱり”起業”だったんですよね。仕事としてやりたい。ただ、お金を取るポイントがない。
ーやってみて初めて分かったということですよね。
山本さん: そうそうそう!どうしようかなーと考えていた時に、アンケートで「そもそも女の子だけでフットサルできる場所がないから新鮮だった」というコメントが結構あったのを思い出したんです。ネットで「初心者 女性 フットサル」みたいな言葉で検索してみたら、ガチで上を目指す地域のチームしかなかったんですよね。やったことない女の子が気軽にフットサルできる場所がないということをその時に知りましたね。
初めてイベントをやった次の年が2012年で、なでしこがロンドン五輪で優勝した時でした。テレビなどのメディアで取り上げられていて、サッカーやフットサルに対する女の子の興味が高まっているのに、それを補うサービスがないことに気づいたんです。これはビジネスになるんじゃないかと思いましたね。一旦、世代間交流とかは取っ払って、女の子に特化したフットサルができる環境ならマネタイズもできそうと思い、その方向性で起業しました。
もちろん、私一人で考えたわけではありません。ULVO共同代表の男の子が、すでに2つ会社を経営していたんですよね。彼の経営的な目線・考え方があったからこそ、非営利でやりたいのか、ビジネスでやりたいのか、という問いも出てきて徐々に方向性が固まったという流れでした。
ーアイデアの壁打ちを2人の話し合いの中でしていたのですね。
山本さん: そうですねー。結果として決まった方向性でサービスを立ち上げたことで、法人化もできて、かつ一般社団法人という形態を取ったので公的な要素も残せました。なので、中高生とのつながりも今もずっとあります。
そんな激動の大学2年生を過ごしていたこともあって、大学もそのまま辞めてしまったんですよね。笑
おそらく学校に行ったのも3回ぐらい。笑
私は大学はやめる気だったんですけど、親にはせっかく受験勉強して入ったんだから頑張んなと言われましたね。結局、大学3年生の時にやめてしまいました。
ーありがとうございます、起業までの激動の流れがよくわかりました。話は変わりますが、今のULVOの活動でどんな方に来ていただきたいですか?
山本さん: 身体を動かしたい、新しい人に出逢いたいという人がいたら、ぜひサイトから申し込んでみてください。フットサルもできるし、やりたいことがあればコミュニティで実際にイベントもできる。
私個人として、今まで独立・起業とかで世の中を生きてきたので、お金の稼ぎ方や人の集め方といったノウハウもお話もできます。オンラインでイベントしたりセミナーもやっています。なんかあったら相談してーって感じです。
インスタグラムのアカウント@yamamotom1kiでやっているので、ぜひインスタを探してみてください。
ーありがとうございます、そんなこんなで残り時間がきてしまいました。最後に将来のことについて話してくれませんか?
山本さん: 一人一人がこれからの生きかたとか、自分の人生をどうしたいということを考えるお手伝いをしたいと思っています。親とか学校の先生から言われたことに縛られて生きている人がすごい多いので、自分の意思でやりたいことに向かって時間を使える人が増えたら良いなと思っています。そんな自立した人が増えたら、世の中に貢献できる人が増えて、最終的に世界が平和になればと思っています。
ー山本さん、素敵なお話をどうもありがとうございました!
ヒトの働きかた図鑑ラジオ
インターネットラジオ局RadiCroさんで放送されている「ヒトの働きかた図鑑」。
第2回にご登場いただいた山本美樹さんには、学生のうちから起業というエピソードを語っていただきました。(2020年5月12日に放送)
音声でお聴きになりたい方は、以下のアーカイブからお楽しみください。
RadiCroさんへはこちらからどうぞ!
http://radicro.com/program/hatarakikatazukan.html